『ファミリービジネスにおけるダイバーシティ経営』 第十九回 若者の採用と活用ついて 前編

法政大学IM総研ファミリービジネス研究部会 特任研究員
中小企業診断士
ダイバーシティイノベーション株式会社 CEO 榎本典嗣

本コラムは、中小企業診断士であり、長年中堅・中小企業の経営支援に携わってきた榎本と、同じく中小企業診断士でもあり、社会保険労務士・行政書士として中小企業の人事戦略を支援してきた瑞慶覧と連載していきます。

第十九回 若者の採用と活用ついて 前編

ダイバーシティとは「多様性」を表す通り、多様性を意識した採用を検討する際には、女性、高齢者、障がい者、外国人など、それぞれのカテゴリーにおいて対策を検討しなくてはなりません。第19回コラムでは、若者に対してフォーカスし、前編では最近の若者の現状について、後編では若者の採用や活用に関して取り上げていきます。

若者の採用の現状

厚生労働省は2022年6月に2022年人口動態統計を公表しました。出生数は過去最少だった21年を下回る77万747人となり、初めて80万人台を割り込みました。 合計特殊出生率は過去最低の1.26で前年の1.30より0.4ポイント低下しています。

これらの数値は、将来的な人口減少と同時に生産年齢人口の減少を意味しており、企業にとって若者を採用し定着させることが将来に渡って大きな課題になることを示してくれています。直近においても大卒の就職率は97.3%と上昇、高卒新卒者の有効求人倍率は3.52倍となり完全に売り手市場となっており、特に中小企業にとって新卒採用はますます難しくなっているのが現状です。

Z世代の特徴

企業を悩ませる一つの要素がZ世代やα世代と呼ばれる若者の特徴かもしれません。今の新卒や第二新卒はまさにZ世代にあたります。

(出所)内閣府@2023 働き方改革ラボ

株式会社SHIBUYA109エンタテイメントによる「Z世代の仕事観に関する意識調査」では、61.3%のZ世代が「人前で褒められたくない」、27%のZ世代は「出世したくない」、無理せずサステナブルに働きたい、など最近の若者の特徴が見て取れます。

特に「出世したいくない」というデータは、パーソル研究所のグローバル就業実態成長意識調査(2022年)や、産業能率大学総合研究所が毎年実施している新入社員の会社生活調査においても同様の結果が出ており、プライベートを重視したいなど、ワークライフバランスを重視する傾向が強くなっています。

私は個人的に某大学体育会の部活の監督をしているのですが、身近な所でもZ世代に対して大なり小なりの違和感をおぼえることがあります。例えば、部内における年代を越えたか関わり方が挙げられます。当然体育会ですから一定の規律は存在しますが、ここ数年見ていると全般的に上下の間柄であっても厳しさはあまりなく、仲良し感が溢れていると感じています。

昔の体育会であれば先輩に軽いノリで話しかけるなどもっての他であり、出来たとしても余程の関係性が無いと出来なかったように覚えています。やはり、コミュニケーションの取り方が大きく変わっていることを肌身で感じます。

今の若者が求めること

ここまで述べてきたように、私のようなX世代と若者に間には多少なりともGAPが存在しており、若者の採用や活躍を考えるにあたっては、Z世代の思考を理解する必要があります。前述したパーソル研究所によるグローバル就業実態成長意識調査(2022年)から、若者が仕事において重視することを抜粋すると、順位は以下の通りとなっています。

  1. 希望する収入が得られること
  2. 仕事とプライベートのバランスがとれること
  3. 職場の人間関係がよいこと
  4. 休みが取れる/取りやすいこと
  5. 自分のやりたい仕事であること
  6. やりがいを感じられること
  7. 通勤の便がよいこと
  8. 雇用が安定していること
  9. 自分の能力や個性が活かせること
  10. 働く時間を選択できること

注目すべき点は、まず2位にある「仕事とプライベートのバランス」が挙げられます。ワークライフバランスが重要視されることは間違いないようです。そして3位に入った「職場の人間関係がよいこと」、この項目が特に若者には重要視されていると感じています。

X世代の特徴として、自らの軸を持って生きる「個人主義」の考え方を持っていることが挙げられる一方で、Z世代はインターネットに早くから接している影響か、個人よりも全体(IよりもWe)、そして多様性や社会問題に関心があるともいわれています。

まだ他にも若者世代の特徴は多くありますが、ここまで確認してきたことからも、若者の採用や活躍を実現するためには、企業側、そして経営者が今までと違うマインドや取組みを行う必要があることがイメージできるはずです。第20回の後編では、若者の採用や活躍を実現するためのヒントを確認していきます。

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